第13章 【切】自家撞着の行末/治崎廻
「入中。コイツを連れて行け。錠を付けて身動きの取れないようにどっかの部屋にぶち込んでろ。」
未だ俺の足を掴み離さない遥香。個性は永久に奪った筈なのに蕁麻疹が出てこない。
「お前は八斎會の研究の為に飼われていたただの被害者。その末、俺から視力と声を奪われた。…いいな?」
声にならない悲鳴を上げ、涙を流す遥香を蹴り飛ばした。綺麗事しか言わない口は塞いだ。遥香はそのうち保護される。
「…らしくない事をした。」
俺がカタギの人間であったなら遥香と共に歩む未来があったのかもしれない。そう思ってしまうのさえも罪な程、俺は汚れ過ぎた。ああ…吐き気がする。