第13章 【切】自家撞着の行末/治崎廻
「真くんとあの女の子と出て行くの?…ねえ、それなら私も…!」
それを最後まで聞いてしまったらそれを受け入れてしまいたくなる。そう思った俺は、その言葉を聞き終わる前に遥香の喉元を掴んだ。
「最初からこうするべきだった。…いや、お前を連れて帰ったのが全ての過ちだった。」
「かっ…、い、…ん…っ、」
「その瞳が、その声が、その個性が俺を狂わせた。もうお前は必要無い。」
個性により遥香を分解。そして視力、声帯以外を修復。その場に倒れ込んだ遥香は必死に酸素を求めるように肩を激しく上下させていた。俺の名前を呼ぼうと口を開くが、声帯が機能しない遥香は俺の名を呼べなかった。キョロキョロと辺りを見回し、覚束無い足取りで一歩ずつ進んでいく。そして俺の足を掴んだ遥香は嬉しそうな顔で俺の顔を見上げた。その状態でもなお俺を恨む事も憎むことも出来ない遥香は『〝個性〟は人類が罹った病気の一種である』という学説が正論である事を物語っていた。
「個性が無くなればお前はただの餓鬼だ。もう二度と俺に触れる事は無い。」
俺の足にしがみつきながら首を横に振る遥香の足目掛け完成品を撃った。これでもう何の迷いも無く、八斎會復興への道を歩める。