第2章 【裏】検証、爆豪勝己の場合/爆豪勝己
無言で私の手を引き早足で歩く爆豪くんの恐ろしい事と言ったら。教室から離れた空き教室へと連れられ、私は突き飛ばされた。机がガシャンと音をたて、机に打ち付けた体がヒシヒシと痛む。プライドの塊みたいな爆豪くん。クラスメイトの前で好きでもない人間からキスをされたのだから、彼が怒るのも無理はない。私はこの空き教室で爆破されるのだろうかと、今から自分の身に降りかかるであろう悲劇を想像し震えた。接近戦にさえ持ち込めれば、私の個性は強い…と思う。けど、個性が効かない人相手じゃ、私は武術に長けている訳でもないし、一方的に殺られてしまう。これが爆豪くんじゃなければ、なんとかなるのかも知れないけど、相手はあの爆豪くん。女であろうとお構い無しに爆破する。それは雄英体育祭のお茶子ちゃんとの戦いで証明済み。
「ご、ごめんね、爆豪くん。急にキスなんかしたりし───」
言いかけた言葉は爆豪くんの唇によって遮られた。先程私が教室で爆豪くんにしたキスよりももっと濃厚な深いキス。唇が離れると、私と爆豪くんの間を銀色の糸が繋いだ。
「我慢出来なかったんだろ?」
そう言ってニヤリとした笑みを浮かべる爆豪くんを見て、個性がちゃんと効いていたのだと分かった。机の上に倒れ込む私に乗り掛るようにして激しいキスを受ける。マズイ…こんなにもキスを立て続けにされると、持続時間が上乗せされる。なんて思ってたらスカートの隙間からスルリと手を滑り込ませ、私の内腿を撫でるゴツゴツとした大きな手にぞくりとした。
「ちょ、爆豪くん…!ここ学校!」
「テメェが誘ってきたんだろうが。」
私はただ、爆豪くんが好きな子相手にどんな反応をするのか見たかっただけで、誘ったつもりは毛頭ない。
「…お願い、やめて。」
「そんな顔されてやめられるかよ。」