第13章 【切】自家撞着の行末/治崎廻
ヒーロー、警察が八斎會へと侵入し、俺の知らぬうちに八斎會の者が動き、勝手な行動を取った。そういうシナリオでこの件を片付ける為、壊理、音本と共に八斎會の地下を歩いた。いつかこうなる日が来るという事は想定内だった。だが、それが思っていたよりも早かった。
「廻くん。何処に行くの?」
入り組んだ八斎會の地下。俺の前に現れたのは遥香だった。
「学校はどうした?」
「廻くんに会わなきゃいけない気がしたから。」
学生の本分は勉強だなんて正論を諭す大人の様な事を言う人間とは程遠い。そう思いながらも遥香をこっち側に引き入れたくないという気持ちからカタギの人間のような事を問う。感化されるというのはきっとこういう事だ。
初めから俺とコイツは住む世界も人間性も全てが違い過ぎた。だからこそ欲しくなった。けど、俺の手のうちに収まった時、それは俺の欲しい物では無くなる。
「廻くん?」
「オーバーホール!」
音本に名前を呼ばれ、判断を仰がれた。遥香と共に歩む未来はこの先一生訪れない。俺にとって遥香は不必要な存在で、遥香にとって俺は害でしかない。
「すぐに行く。」
音本は頷くと、壊理を抱え、そのまま先へと進んだ。