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【WJ】短編 -2-

第13章 【切】自家撞着の行末/治崎廻


「寝ながら菓子を食うな。汚れる。」
「ちゃんとお掃除するよ?」
「そういう問題じゃ無い。」
「廻くんのお部屋だっていつも綺麗にお掃除出来てるでしょ?」
「勝手に入るなと何度言ったら理解出来る?」


 俺に唯一触れられる人間という自負があって、組で随分好き勝手やってる。


「ねえ、廻くんマスク外してよ。」
「他人と同じ空気が吸えるか。」
「大丈夫だよ。怖くないよ。」


 伸びてきた手はマスクに触れた。他人が自分の物に触れてるのかと思うとそれだけで吐き気がするが、コイツに触れられるのは悪くないと心の片隅でそう思ってしまう自分がいる。
 外されたマスク。何の隔たりも無く触れる空気。


「ほら、廻くんはマスク外した方がカッコいい。」


 俺の顔を見て満足そうに微笑む遥香。その笑顔を見て、八斎會で一番牙を削ぎ落とされてるのは間違いなく俺だと改めて実感した。触れようと思う事はあっても、分解しようという気持ちは一度たりとも抱いた事が無い。その手を取って自分だけのモノにしたいという衝動に駆られるのは情か。それともそれ以上の感情か。きっと遥香にこの気持ちを伝えればいつものように笑って受け入れてくれるんだろうが、俺の野望にコイツは不要な存在でしかない。


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