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【WJ】短編 -2-

第11章 【裏】見えない優しさ/ナッシュ・ゴールド・Jr


「誰の女だと思ってソイツに手を出してる?」
「…ナッシュ!」


 不機嫌そうに眉間に皺を寄せたナッシュが冷たい瞳で彼らを見ていた。
 ナッシュが来てくれた事への安心感と同時に、他の男に襲われている姿をナッシュに晒す事になってしまったという羞恥心が私を襲った。
 薄ら笑いを浮かべ、私の足を抑えていた男二人がナッシュに殴りかかった。


「…!ナッシュ!」


 ナッシュはパンチを避け、一人の男の腹部に思い切り拳を入れた。そこに間髪入れずにもう一人の男がナッシュに殴りかかったが、それもあっさりと躱し、その男を足蹴にすると、その男も地面へと倒れた。


「Keep back!What may happen to this woman?(近付くんじゃねえ!この女がどうなってもいいのか?)」


 悪役の決まり文句のような台詞を言って、私の首筋にナイフを当てる男。目の前の凶器に、再び体が震えた。


「ナッシュ…。」


 ナッシュはその言葉に反応せず、一歩、また一歩。私達へと近付いた。


「Do you hear!?(聞いてんのか!?)」
「Do not touch that.(ソイツに触るな。)」


 ナッシュの瞳が鋭く光ると、男の持っていたナイフが床に落ちた。そして、そのまま男は腰を抜かした。ナッシュは上着を脱ぎ、それを私に被せると、腰をつき、震える男の腹部に執拗に蹴りを入れた。低い呻き声と鈍い音に耐えられず、ナッシュにやめてと懇願した。


「…俺は今、頗る機嫌が悪いんだ。」
「ナッシュ…!もう充分だから…!」


 舌打ちをし、唾をその男に投げ捨てると、男の顎を蹴りつけた。


「Thank for there being life.I kill the next.
(命があるだけ、感謝しろ。次は殺す。)」

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