第7章 【裏】気が付けば、いつも視線の先に君がいた/赤葦京治
「…えっと、赤葦くん。そんなに見詰められると、恥ずかしい…かな。」
顔を真っ赤にし、視線を落とす逢崎さん。初めて見るその表情に少しだけ嗜虐心が湧いた。
「何で?」
「ほら、その…。」
視線を泳がし、目を合わせない逢崎さん。
「その…何?」
「赤葦くん、カッコいいし、そんなに見詰められると照れちゃうから…!」
言ってしまったと言わんばかりに顔を林檎みたいに赤くし、その赤くなった顔を両手で隠す逢崎さん。
「こういう顔が好みなんだ?」
別に自分では何とも思わない顔であったが、この時ばかりはこの顔に産んでくれた両親に感謝の気持ちを抱かずにはいられなかった。
「違うよ!あ、いや、赤葦くんはカッコいいと思うけど、そうじゃなくて…。」
「そうじゃなくて?」
「…赤葦くんの意地悪。」
この反応は、期待してもいいのだろうか。
「うん、ごめん。」
「…赤葦くんって結構意地悪なんだね。」
「男って、好きな子に程意地悪したくなる生き物だから。」
「え…!?」
目を丸くし驚いたと思えば、また赤くなる頬。
「…からかわないでよ。」
「からかってないよ。本気だから。一年の頃からずっと気になってた。」
「私も…。」
消え入りそうな声。けど、逢崎さんも俺と同じ気持ちだと口にした。
「あのね、私、本当は入学してすぐバレー部のマネージャーになろうって思ってたの。でもね、綺麗なトスを上げる赤葦くんに一目惚れしちゃって…。それで、なんかそういうやましい気持ちで入部したって思われるのが嫌で…。勿論、バレーも好きだよ!」
「うん、分かってるよ。」