第3章 新しい弟
ダニーを小屋に入れ屋敷の中に戻ると、もう挨拶を終え部屋に行ったのか、玄関ホールにはジョナサンだけしか残っていなかった。
中に入ってきた私に気がつくと、ジョナサンが足取りを重くしてやってくる。
「姉さん……僕……」
「どうしたの? ジョナサン」
片手をもう片方の手で、握りしめながら、小さく呟いた。
「僕……ディオと仲良くなれないかもしれない」
「何かあったの?」
ジョナサンは何もなかった、と首を振っているものの、何かあった事はその様子を見えれば直ぐに分かる。
ジョナサンは貴族のお坊ちゃまで、純粋培養。ディオは貧民街出身で、犯罪が日常的にある場所からやって来た少年。多かれ少なかれ、衝突があるのは仕方のない事だろう。
「別に無理に仲良くなろうとしなくても構わないのよ。人間には合う合わないがあるんだから」
「そういうもの?」
「そういうものよ。でも家族になるからね、そうも言ってられない事が多いけど。どうしてもだめなら無理をする必要はないからね? 表面的に平和であればお父様は何も言わないと思うから」
「……うん」
正義感の強いジョナサンは納得がいってないみたいだが、世の中所詮そんなものだ。
しばらく逡巡したが、やがて顔をあげた。
「でもやっぱり、仲良く出来る様に頑張るよ。表だけなんて、寂しいから」
「そう。くれぐれも無理はしちゃだめだからね?」
「うん!」
……本当に、この2人大丈夫かしらね。
だめだと思ったら、私は遠慮なくとめるわよ。