第1章 転生
えーと、気がついたら知らない場所にいました、クロノです。絶賛混乱中です。滅多にしないような脳内実況をする程には混乱しております、はい。
少し前までいた場所の事を考えれば、暗くて狭い、この場所も説明がつくのだけれど。
目は開かないものの息は出来る。
手足は狭い所為で少し動かすと壁らしき物に当たる。
ただ……あの場所と特定するにはあまりにもここは温かい。あの場所であるなら氷のように冷たくなければいけないのに。
あの場所から助け出された後なら、ここは棺桶の中かもしれない。意識があるまま火葬に出されるなんてゾッとするけど、痛みは感じないからもう幽霊に近いのかもしれない。
熱は感じるのに痛みは感じないって、あれだよね。不思議というか、怖いというか。
……いたく、ない、よね? 多分、大丈夫だよね?
流石に痛覚があるまま燃やされるのは嫌だなぁ。皆を置いてきてしまった罰なのかもしれないけど……
ぼんやりとしながらその時を待つ。
この温もりが、刺すような痛みに変わるのをただひたすらに待つ。
気の所為でなければ、ただでさえ狭かったこの場所が、更に狭くなって来ている様な……?
ぎゅうぎゅうと締め付けられる。
身体を押し出すように壁がうねり始める。
え、え?
なんで狭くなってるの、なんで動いてるの!?
ぎゅうぎゅうと締め付ける壁が、頭を圧迫する。
痛い。痛い痛い!
苦しい!空気がない!
いやだ……!だれか、だれか!
「ふぎゃぁぁぁっ!! おぎゃぁぁっ!!」
……へ?
「おめでとうございます……!元気な女の子ですよ……!」
「……良かった…元気に、生まれてくれた……」
……どうやら、私はまた転生をしてしまったようです。