第3章 新しい弟
「……随分と、昔の夢を見たものだなぁ」
薄っすらと浮かんだ汗を拭い、ベッドから起き上がる。
私はあの頃より格段に大きくなった。
身長は伸びて、力も強くなった。髪も女性らしく伸びたし、執事や侍女にお転婆を見咎められる事もなくなった。(ただ単に見つからなくなっただけとも言う)
そろそろお父様が縁談を持ってき始めてもおかしくない年齢――15歳になった。
あんなに小さかったジョナサンも12歳。
幼い頃みたいに暗闇を怖がって私のベッドに潜り込む事も少なくなった。お姉ちゃんとしては寂しい限りだけどね。
「こんな夢を見たのは、やっぱり新しい家族の所為か」
お母様がなくなったあの事故の時に、お父様達を助けたという生命の恩人の息子さん。
ジョナサンと同い年の新しい弟。
お父様がどういった経緯で息子さんを引き取るのかは知らない。
ただ身寄りがなくなった、恩人に頼まれた。そこら辺しか説明されてない。
詳しく掘り下げるつもりは毛頭ないけど、もうちょっと詳しく説明してくれてもいいんじゃないかな?
どちらにせよ、弟として構い倒すのは変わりがないけどさ。
「……もうちょい寝るか」
まだ外は暗い。
もう一度くらい寝た方がいいだろう。流石に寝不足の顔で人前には出たくないからね。
さあ、次に起きた時は新しい家族が来る時だ。