第2章 ご褒美。
「ほらほら、ちゃんと背筋を伸ばして!」
「もう限界ですか?だらしのない」
「どうしてそんな色合いにしたのです?」
「あと一時間延長します」
生け花の先生に、文句を言えるほど私は気の強い方ではない。あのおばさん、すっごく怖いんだもの。
「みねーー!疲れたよーー」
生け花の先生の家を出た瞬間に、みねの腰に抱きつく。みねは癒し効果抜群だ。
「たった三時間じゃなかったよぉー。されど三時間だったよぉー。しかも、四時間ーーー」
みねの大きな手が私の頭の上に乗る。
「よく頑張りました」
このふわふわしたくすぐったい感じは何だろう。
「えへへっ」
まあ今はいっか!
いつか分かる日がきっと来る。
そんな感じがするもん。
「それではお嬢、帰りましょうか。夕食は何がいいですか?」
「んーとね、ハンバーグ!」
「またですか」
今のこの感じ、すごく落ち着く。
ただの日常だけど、されど日常。
「だって、みねのハンバーグ大好きなんだもん!」