第2章 ご褒美。
「はぁ、はぁっ……」
こんなところで見つかるわけにはっ……!
「お嬢」
「ぴょっ!?」
足音なんてしなかったのに、いつの間に背後にいたの!?
「いつまで庭に隠れているのです?生け花の稽古に行きますよ」
近くにあった木に抱き着いて、抵抗する。だって、生け花の先生、とても怖いんだもん。
「たった三時間です」
「たった三時間じゃないもん!すごく長いんだから!」
ずっと正座だし、足痺れても崩させてくれないし、というかそもそもセンスがないし。いくら本家からの命令だとしても、あんまりだ。
「遅れてしまうと、更に長引きますよ」
みねが、相変わらずの無表情な顔で、恐ろしいことを口にする。
「それはいや」
でも、行きたくない。
生け花なんて、何の役に立つというのだろうか。少なくとも、私にとっては必要じゃない。
「でしょう?なら、早く行きますよ」
「それもいや」
ただのわがままだって知ってるけど、嫌なものは嫌なんだもの。