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執事とお嬢。【R-18】

第1章 ヤツが出た。


「みねぇーーーーっ!!」

木造の長い廊下をどたばたと走って、執務室でもあるみねの部屋へと向かう。築ウン十年だけど、それでも床が突き抜けるような心配はない。だって、今まで突き抜けたことなんてないもの。

「みね!」

襖(ふすま)を勢いよく開ける。

「どうしました?」

みねののんびりとした反応に、少しむかっとくる。どうしたもなにもあるもんか。

「ヤツが出た!」

「ヤツ……?」

あーもー、ほんとにどうしてこんなにゆったりとしていられるの!?

「ヤツはヤツだよ!」

私が声を張り上げて言うと、みねがやれやれとため息をつく。

「お嬢の仰ってるヤツとは、どのヤツのことです?」

ゆっくりと書類に目を通しているみねの腕を引っ張り、部屋から無理矢理に連れ出す。

「もう!とりあえず今すぐ来て!ヤツが逃げちゃう!」

今日こそ、逃げられてたまるか。
こっちには、みねがいるんだから!
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