第17章 私は『主』【刀剣 へし切長谷部】
なので、次第に長谷部に対する不満も減った。
寧ろ、彼以上の働きが出来る者が居ないというのを皆が認め、
そして、
たまに近侍の交代や非番を言い渡すと、
それは、それは、酷く落ち込み、
もう捨てられた子犬のように小さくなる彼が面倒になったと言うのが現状である。
そんな事が重なって、
近侍は長谷部のものとなった。
どんな仕事を頼んでも、
嫌な顔一つせず迅速に対応してくれる
そして、
「主」「主」と慕ってくれ、細やかな気配りを忘れない。
『どうぞ、俺を頼って下さい』
その言葉通り、私は彼に頼りきりだ。
考えたくもないけど…
長谷部が居なくなると、この本丸は回らなくなる。
それくらい、長谷部の存在は大きい。
それは、いつからか、
近侍としてだけでもなく、
異性としても…。
でも、でも…。