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いとし、いとし【短編集】

第2章 名前を呼んで【krk 黒子テツヤ】


青空が茜に染まりきった頃、廊下から彼の足音が聞こえてきた。


カタカタカタと音立てて、ゆっくりと扉が開かれる。



「早瀬さん、お待たせしました」


優しく声をかける彼は、
夕陽と重なって、
とても儚げで、綺麗だった。


「黒子くん。お疲れ様。今日はいつもより早いんだね」

手元の本を閉じながら私が言えば、


「そうですね。練習も大事ですが、オーバーワークは身体によくないので…」

と、水色の瞳を真っ直ぐにこちらへ向けて話す彼。


この瞳に、いつも吸い込まれそうになる。





「帰りましょうか?」


彼に促されて、私達は図書室を出た。



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