• テキストサイズ

いとし、いとし【短編集】

第2章 名前を呼んで【krk 黒子テツヤ】


静かな図書室が好き。


私は、

放課後、

部活に勤しんでいる彼を待つ為に、この場所を利用している。




校庭に面している窓際の席に腰かけて、お気に入りの本を開く。

何度も読み返したこの本には、
私と彼を繋いでくれたこの本には、
色ちがいで揃えたブックカバーがかけてあった。


少し開けた窓から吹き抜ける風が心地よい。


ここから見える青空は、大好きな彼を連想させる。




「頑張ってね、テツヤくん…」



お付き合いをはじめて、かれこれ2ヵ月程が経つのだが、未だに面と向かっては呼べない彼の名前を、澄みきった青空に向かって呟く。



うっすらと頬に熱が灯るのを感じながら、手のひらの上で規則正しく並ぶ活字に目線を移した。


/ 172ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp