第2章 名前を呼んで【krk 黒子テツヤ】
静かな図書室が好き。
私は、
放課後、
部活に勤しんでいる彼を待つ為に、この場所を利用している。
校庭に面している窓際の席に腰かけて、お気に入りの本を開く。
何度も読み返したこの本には、
私と彼を繋いでくれたこの本には、
色ちがいで揃えたブックカバーがかけてあった。
少し開けた窓から吹き抜ける風が心地よい。
ここから見える青空は、大好きな彼を連想させる。
「頑張ってね、テツヤくん…」
お付き合いをはじめて、かれこれ2ヵ月程が経つのだが、未だに面と向かっては呼べない彼の名前を、澄みきった青空に向かって呟く。
うっすらと頬に熱が灯るのを感じながら、手のひらの上で規則正しく並ぶ活字に目線を移した。