第15章 最大の仲直り【krk 緑間真太郎】
「早瀬さん?どうしたの?」
両膝に手をついて息を整えていると、
顔を覗き込む様に声を掛けて来たのは隣のクラスの男の子だった。
「えっ…?」
「凄い勢いで走って行くのが見えたから…。どうしたのかな?って。緑間とケンカでもした?」
尋ねられて、コクンと頷く。
ヤバい。また泣きそう。
泣くのを見られたくなくて、下を向くと
「早瀬さん、大丈夫?」
そう言って、ポンと肩に手が置かれた。
突然の事に、ビクリと身体が跳ねる。
それと、同時に感じたのは嫌悪感。
けして、強引に引き寄せられた訳ではない。
ただ、単に肩に手を置かれただけなのに…。
真太郎以外の手に触れられるのは嫌だと感じてしまった。
「あの、手…」
「その手を離すのだよ‼」
私の声をかき消すように聞こえたのは真太郎の声。
頭上では「チッ」と言う舌打ちと共に私の肩から手が離れる。
グイッと身体が引かれ、
私は真太郎の腕のなかに収まった。