• テキストサイズ

いとし、いとし【短編集】

第15章 最大の仲直り【krk 緑間真太郎】


「早瀬さん?どうしたの?」

両膝に手をついて息を整えていると、
顔を覗き込む様に声を掛けて来たのは隣のクラスの男の子だった。


「えっ…?」


「凄い勢いで走って行くのが見えたから…。どうしたのかな?って。緑間とケンカでもした?」


尋ねられて、コクンと頷く。

ヤバい。また泣きそう。

泣くのを見られたくなくて、下を向くと

「早瀬さん、大丈夫?」


そう言って、ポンと肩に手が置かれた。

突然の事に、ビクリと身体が跳ねる。
それと、同時に感じたのは嫌悪感。

けして、強引に引き寄せられた訳ではない。

ただ、単に肩に手を置かれただけなのに…。

真太郎以外の手に触れられるのは嫌だと感じてしまった。


「あの、手…」


「その手を離すのだよ‼」


私の声をかき消すように聞こえたのは真太郎の声。


頭上では「チッ」と言う舌打ちと共に私の肩から手が離れる。


グイッと身体が引かれ、
私は真太郎の腕のなかに収まった。
/ 172ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp