• テキストサイズ

いとし、いとし【短編集】

第15章 最大の仲直り【krk 緑間真太郎】


ポロリと涙が零れそうになる。

でも真太郎は、そんなのお構い無しに私の腕を掴んで、「行くぞ」と引っ張った。

その平静な態度が、私の怒りや哀しみや悔しさのボルテージを上げる。

胸のつかえを膨らませる。



「な…んで?なんでよ…」

腕を掴む手を振り払えば、驚いたように目を見開く彼の顔。




「普段、バスケばっかでちっとも構ってくれないくせに‼今日に限ってなんなの?私、何かした?なんで、真太郎に監視されなきゃいけないの?なんで、そんなに信用されてないの?ずっと待ってるのは私の方なのに‼」



叫んで、教室を飛び出した。


「待つのだよ。結依」


呼び止められたけど、気にしない。


廊下を走って、走って、走って。



真太郎が本気で追いかけてくれば、私なんかすぐに捕まるはずだけど、捕まらないとゆうことは、そうゆう事だ。


言葉で引き留めはするけれど、言うことを聞かない奴を追いかけはしないということだ。


結局、真太郎にとって私はその程度なのだ。




階段をかけ降りて、角を曲がって、中庭に出た。







/ 172ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp