第15章 最大の仲直り【krk 緑間真太郎】
放課後。
今日は以前から友人達と遊びに行く約束をしていた。
さぁ、帰ろう‼と教室を出ようとすれば、
「どこに行くのだよ」
と引き留められる。
「どこって、帰るの。今日は皆と遊びに行くから」
そう言えば、真太郎は眉間に皺を寄せた。
また、胸に引っ掛かりが出来る。
もう、いい加減うんざり。
休み時間になる度に、ご丁寧に真太郎は私の席までやってきた。
席を立とうとすれば、どこに行くのかをイチイチ報告させられた。
「どうしたの?なんか変だよ?」
そう聞いて見ても、
「俺は人事を尽くしているだけなのだよ」
と、返されるだけで理由は教えてもらえない。
いつも、あまり構ってくれない真太郎がこうやって私の所に来てくれるのは嬉しくない訳じゃない。
でも…
今日のは、
恋人同士の甘い時間と言うよりは、一挙一動を監視されているような…
そんな、真太郎の態度に、
私の胸にはたくさんの引っ掛かりができて…
それが重なると、苦しい胸のつかえになって…
「皆と一緒だから一人じゃないでしょ?」
キッと睨み付けるように目線を向ければ、
「そうゆう事ではないのだよ。今日は、俺の部活を見ていくのだよ」
と、真太郎もこちらを見下ろす。
今日に限って、なんで?
私が『見に行きたい』って言っても、
『気が散るのだよ』とか言って追い返すくせに…。
今日は皆と約束してるのに…。
なんで?
なんで私が真太郎にばっかり合わせなきゃいけないの?
私達の様子に、
「まぁまぁ、真ちゃん…」
と、高尾くんが宥めに入り、
友人達は「結依は、また今度にしようね。緑間くんの所に行っておいでよ」と、教室を出ていってしまった。