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いとし、いとし【短編集】

第15章 最大の仲直り【krk 緑間真太郎】


「今日のラッキーアイテムは『彼女』なのだよ。だから、今日は俺から離れるな。ずっと一緒に居るのだよ」


朝、登校して一番に、そんな風に真顔で真太郎が言うもんだから、つい、ポカーンとしてしまった。

ここは教室のど真ん中。
こんな所で何を言い出すんだろう?

いくら、私達が付き合っていることが周知の事であっても、それなりに恥じらいはあるし、クラスメートが見てるし…。


本当に、この人はいつも…

身勝手と言うか、
なんと言うか、

惚れた弱みで真太郎に従ってしまう私も私なんだけど、

たまに、胸につかえるものがあるのも事実。



「真ちゃん、それ、嘘っしょ?だいたい人はアイテムじゃねーし」


「ギャハハ‼」とお腹を抱えて笑う高尾くんに現実に引き戻されて、改めて彼を見れば、本来のラッキーアイテムだと思われるヘアピンが学ランのポケットに刺さっている。


どうゆうこと?


真太郎がこんなにしょうもない嘘をつくとは思えないんだけど…。


「真太郎…?」


真意を訪ねる意味で、名前を問い掛けると、



「とにかく‼」と、彼が声のボリュームを上げた。


「一人になるな。教室を出るときは俺を呼ぶのだよ」


そう言ったきり、真太郎はプイッと横を向いて、自席に座る。


なんなんだろう??
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