第14章 笑顔は幸せを呼ぶ【krk 実渕玲央】
「何をそんなに溜め息こぼしてるの?」
問い掛けられて、手元の葉書を玲央に見せた。
「あら?今どき葉書なの?」
なんて、首を傾げた彼は書かれている文字を見て顔を歪める。
「アンタの様子からして、この幹事って…」
玲央の言葉を遮るように、コクリと頷く。
玲央には話してあるんだ。
私の前髪が長かった理由も、
ずっと下を向いていた理由も…。
「やっぱり…」
そう言って、目線を斜め下へ流したかと思えば、
「アンタ、それ、行きなさいよ‼」
と、ガシッと私の肩を掴んで顔を覗きこむ。
いつも比較的距離の近い彼だけど、
今は一段と近い。
私の心臓は途端に鼓動が早くなる。
「え…えっ…?でも…」
「ワタシ、その日オフなの。午前中に買い物行きましょ。ワタシが結依を可愛くしてあげる。ソイツ、見返してやんなさいよ」
そう言って、いつもの様に有無を言わさぬ玲央にクラス会の日の約束を取り付けられた。