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いとし、いとし【短編集】

第13章 生まれ変われるなら…【krk 笠松幸男】


試合後。

会場の出口で笠松を待っていた。


でも、なんて声を掛けたらいいんだろう…。


私達が仲違いした日と同じく、試合は負けてしまったのだ。



去年と同じ間違いをしたらどうしよう…。


また、笠松を傷つけてしまったら…。


あのときの笠松の目が今でも頭から離れない。

私は、

私…は、



ふと、視界の端に見えたのは青いジャージ。


どうしよう…。


下を向いて、
ぎゅーっと目を閉じて、
首を横に振った。


スタスタとこちらに歩いてくる足音が聞こえる。


ピタリと目の前で足音は止まって、


「結依…」


呼ばれた声におそるおそる顔をあげた。

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