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いとし、いとし【短編集】

第13章 生まれ変われるなら…【krk 笠松幸男】


あれからもう、一年以上経った。


「高校最後の大会だよ。もう、セミファイナルだよ。意地張ってないで見に行こうよ」


私と笠松の事を知っている友人に連れられて、見に来たのはウインターカップ。


退部以降、私は一切バスケ部に顔を出してはいない。

だから、試合を見るのも久しぶりだ。


コートの上の笠松から…目が離せない。


「ちゃんとキャプテンだね。幸男…」


堪らず漏れでた、
馴染みのある呼び方と言葉に、



「当たり前でしょう」


と、友人がため息を溢す。



「二人とも、意地張りすぎだよ。森山くん伝いで聞いたんだけど、笠松くんさ…去年の事、後悔してるよ。でも、引くに引けなくなっちゃったみたいで」

友人が、膝の上に置いてある私の手をぎゅっと握る。


「言わない約束だったけどさ、あの3人に頼まれたんだ。『連れて来てくれ』って。だから初戦からずっと、誘ってたのに…。まさか、セミファイナルまでごね続けるとは思わなかった…」


困ったように眉を下げる友人に、

「ごめんね」と頭を下げた。



コート上ではエースを欠いた海常の選手達が、これ以上離されまいと必死に食らい付いている。


やばい…。泣きそう。


「試合が終わったら、待っててあげなよ」


その言葉にコクりと頷く。




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