第13章 生まれ変われるなら…【krk 笠松幸男】
その事がきっかけで、私達の距離は急速に開く。
一番の友人であり、
一緒に育った兄弟であり、
そして、
いつからか、好意を寄せていた相手でもあった。
マネージャーとして近くで応援できる事に、すごく喜びを感じていた。
それなのに…
あのインターハイ以降、
笠松は私を名前でなく、「早瀬」と呼ぶようになった。
話しかけても、「あぁ」と「違う」しか言わなくなった。
私を避ける様になった。
そんな笠松の態度に、周りのチームメイトも気を使う。
当たり前だろう。
だって、
インターハイ前は、
私達は、
バスケ部の誰よりも仲が良かった。
女子が苦手なアイツが、話を出来る唯一の相手が私だった。
それなのに…
それなのに…
このままではチームの雰囲気に差し支えると思い、私はバスケ部を退部した。
もちろん、引き留めてくれる人も居なかった。