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いとし、いとし【短編集】

第12章 私だけが知らない【krk 花宮真】


「やっぱりここに居たー。早く戻ってよねー」

聞き覚えのある声に、私達は顔をあげた。

先程、花宮先輩が声を掛けて来た場所に立っているのは、花宮先輩と同じバスケ部の原先輩…。


「また、そんなおバカちゃん構ってるの?以外とマメだねぇ」


教室内に歩を進めながら発せられたその言葉に、花宮先輩は顔をしかめて「チッ‼」と舌打ちを溢す。



普段とは違うその様子は、少しだけ怖くも感じたけれど、


「花宮先輩…?」


呼び掛ければ、いつもの優しい顔に戻ってニコリと微笑んだ。


「ごめんね。もう、いかなきゃ。最後まで頑張ってね」


そう言って、私の頭をなでて、先輩は立ち上がる。



その横で、原先輩は意味ありげにニヤニヤと笑っている。

正直、ちょっと…感じ悪い。




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