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いとし、いとし【短編集】

第11章 その花の言葉は…【krk 黄瀬涼太】


「あ…ありがとう、涼太」


黄色いチューリップを受け取ろうと、手を伸ばす。

大好きな相手からのお花のプレゼントなんて、すごく素敵だと思う。

でも、少しだけ複雑だった。


たぶん、涼太だから何も考えてないとは思うんだけど…

この花は恋人に贈るにはあまり相応しくない。



涼太は知っているんだろうか?
このチューリップの花言葉。



「駅前の花屋さんで勧められたんっス。彼女にプレゼントって言ったら、これがいいって言われたんスよ」


太陽みたいにキラキラと笑う彼に、


(やっぱり…)

と、心の中でため息を溢した。



きっと、その花屋さんは涼太のファンだったんだろうな。

憧れの人が目の前に来たのに、涼太が『彼女』とか言い出すから、この花を渡したんだろうな。


「そうなんだね」


「そうなんスよ。結依っちは黄色が好きだし、俺と同じ色だし、だから黄色い花にしようって思ってたんスけど、そんな話なんてしてないのに黄色のチューリップが出てきてビックリしたんっス」



涼太の話をウンウンと頷いて聞いていた。

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