第9章 きっと届く【hq 日向翔陽】
つい数日前まで…
授業中、隣の席でうつらうつらと船を漕いでいる日向をつついて起こす。
それが、私の役目だった。
『テストがヤバイと合宿に行けなくなるから俺が寝てたら起こしてくれ‼』
そう、日向に頼まれたから。
『日向、起きて』
そうやって起こす度に、
『ありがとな』と笑う日向は名前通りお日様みたいで、
こっちも自然と笑顔になった。
授業が終わって、
放課後になって、
『ヨシッ‼部活‼』
と、気合いを入れている姿は、
なんだかキラキラしていた。
『早瀬さーん‼明日もよろしくなー‼』
教室の扉から、叫びながら手を振る日向。
影山くんと並んで部活へ向かうその姿に、
『また、明日ね。部活頑張れー』
なんて、平気なふりして手を振り返しながら、
私の心臓はドクドクと音をたてていた。
友人には『告白しちゃえばいいのに…』なんて言われたけど、
今は、それは、したくない。
バレーに一生懸命で、キラキラしている日向の邪魔になるような事はしたくない。