第6章 キスの変わりに【krk 森山由孝】
森山と私は中学からの仲だ。
同じ体育館で、男バス部員、女バス部員として毎日バスケをしていた。
同じポジションだったから共通した悩みも多く、練習後も互いに残ってシュート練をして、
あーでもない、
こーでもないと、
切磋琢磨してきた仲だ。
正規のフォームではなかなかシュートが入らなくて酷く落ち込む森山に、
かける言葉が見つからなくて、
「一層のこと、自分がやりやすいように投げたら?」
なんて、その場凌ぎのいい加減な事を言ったのは私。
ただ…まさか、それを本当にするとは思わなかった。
しかも、本当に入るようになるなんて思わなかった。
言った私が言うのも変だが、
なんで、あのフォームでシュートが入る?
未だに謎。