第6章 キスの変わりに【krk 森山由孝】
キスする場所には色々な意味があるらしい。
髪へのキスは恋しく思うこと、
額へのキスは祝福、
瞼へのキスはあこがれ…
一年生の黄瀬くんが表紙を飾るファッション紙を熱心に見ている森山が気になって、後ろから手元を覗きこめば、
キスの意味について詳しく書かれている恋愛特集のページが開いてあった。
「黄瀬くんを見てた訳じゃないんだ」
訪ねるようにぼそりと呟くと、
「あの顔は毎日見ているからな。正直、どうでもいい…」
と、きっぱり言ってのける。
「それよりも、こっちのチェックの方が大切だ。いつか結ばれる可愛いの彼女のために…」
それ以降も、運命の相手がどうとかいろいろと言っていたが、面倒になって聞き流した。
(何が運命だよ…)
心の中で悪態をつく。