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いとし、いとし【短編集】
第5章 彼女の知らない場所【krk 青峰大輝】
梅雨前の陽気。
制服が汚れるのなんて気にせずに仰向けに寝転べば、
陽に照らされたコンクリートが、じわりと背中に熱を伝える。
時々、吹き抜ける風が心地いい。
「授業、サボっちゃおうかな…」
青空に呟く。
もちろん、返事なんて返ってこない。
こないハズなのに…
「そこだと、さつきに見つかるぞ」
と、どこからか声が聞こえる。
今の声…
「青…峰くん?」
キョロキョロと辺りを見回すと、
屋上の更に上の給水塔から、青峰くんが顔を覗かせた。
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