第5章 彼女の知らない場所【krk 青峰大輝】
入学してからずっと、目で追ってきた彼。
でも…
彼の隣には、
いつも、さつきちゃんがいる。
とても可愛らしい顔に
桃色の綺麗な髪をなびかせて、
抜群のスタイルで…。
私には無いものだらけだ。
さつきちゃんは青峰くんの幼馴染みらしくて、
『ほっとくと、何するかわかんないからさ…』
と、大好きな人と同じ高校に行くのを諦めて、この学校に入学したらしい。
さっきまでは、教室でさつきちゃんと一緒に居た。
でも、
「もう‼青峰くんが見つからないの。振り回されてばっかり」
と、可愛く愚痴る彼女の話をそれ以上は聞きたくなくて、
ここ、屋上に逃げてきた。
そんな風に愚痴る位なら、
その場所から、
彼の隣から、
退いて欲しい…。
醜い、女の嫉妬心。
一番仲良くしてくれる友達に向けるとか…
本当、私は嫌な女。