rain of insult 【黒バス/ナッシュ】
第1章 rain of insult
ある日のこと、何気なく通りを歩いていた週末の午後。
なんてことはない典型だ・・・肩がぶつかって振り返り、謝る為に言葉を交わしたことがきっかけだった。
背の高い、明るく澄んだ目が印象的なその男と視線が重なった瞬間、澄んでいる筈のその瞳の奥に見えたのは禍々しい色だった。
関わるのは止すべきだと直感で思ったのに、気が付いた時には腕を掴まれ、名無しはその男に捕らわれた。
都合の良い遊び道具でも見つけたかのように彼はどす黒い微笑を浮かべながら、それでも名無しは、そこで抱くべき恐怖心を何故か持てず、ただ動揺していた。
声を上げながら、泣き叫びながら、同時に助けも求めなければならないだろうその状況で、男の歩幅に合わせ向かわせられたのは、なにかクラブハウスらしき場所。
扉の鍵が閉められた瞬間、嫌でも状況を理解し、名無しは初めて喉元から劣化した悲鳴のような声が溢れかけたのだけれど、結局彼女が次に出したのは、悲鳴ではなく嬌声だった。
襲われた事実を自ずと肯定してしまってなお、悦んでしまったことが心底名無しを恥辱に溺れさせ、同時に屈辱に塗れさせた。
「・・・ッシュ・・、あ・・・!ん・・」
「ぁ・・・イキそ・・、ん・・・・出すぜ?」
「ッ・・・ん、・・いや、・・・まだ・・・っ、・・ッシュ・・・・ナッシュ・・」
「!・・・・ハハッ・・・本当・・最高だなおまえ・・・ン・・ッ―――イカせろよ・・・またすぐに抱いてやる・・なァ?」
「――・・・ほん・・・っ、と・・・?・・!!ひ・・ぁ・・」
「ア・・ッ、ん・・・―――ッ」
どこかで願望があったのだろうか・・・今でも時々物思う。
閉じ込められて、壁際に追い詰められて、大きな手が頬に触れたとき。
下半身がむずむずと疼き陰核が勃ったことは、たった一人、名無しだけが知る事実だった。
この男に・・・もしもナッシュに知られれば、本当の意味で正真正銘、淫乱な女だと思われるだろう。
最初に犯されたとき、涙も流さず、しがみつくため彼の首に両手を回した。
その瞬間のことは、頻繁に強いられるようになってからもずっと頭の中で巡っていた。