第1章 カラー
毎日がつまらなくこの世界にはなんの色もない。貴族…侯爵というだけでなんの取り柄もないボク ディヴィッド・ローク は両親が亡くなり、多感な時期のボクに金の亡者達が群がった。金を持ってるやつらはボクに取り入って自分の娘を嫁にさせようと躍起になっていたけれど。そのころからボクは≪人間≫を信用しなくなった。
信用できる人間は父の代からいる執事のレイモンドと数人の使用人位だ。
それから何年がすぎただろう。
ボクは社交界にも、あまり参加しなくなった。王族が主催するものは仕方なく顔出しはしたけれど。
その時も王族主催のパーティーだったから仕方なく出向いた。壁とお友達になりながら、度々声をかけられるが適当に話を終わらせパーティーが終わるのを待った。
帰りの馬車でレイモンドが「ディヴィッド様、夜空がきれいですよ」なんて言うから柄にもなくカーテンを少し上げ外を見た時にそれはそれは綺麗な色を見た。夜空なんて目じゃないくらい綺麗なその人は赤い色の髪を揺らし黄色いドレスをなびかせながら歩いて行った。すぐにレイモンドに指示をした。
あの娘がほしい
あの娘がほしい
ただその欲だけがボクを支配していた。