第1章 再集合
すると突然、少年ははっとして口に手を当てた。
「スバル!そうでした!スバルを!」
そして慌てて船の中に潜った。船の中からガチャガチャと音が聞こえるのを、猫は黙って見ていた。
暫くして、少年が出してきたのは、先ほど少年が入っていたのと同じ形のカプセルだった。
その中にも、誰かが眠っている。
「スバル、起きて!」
少年は、カプセル内の人物に必死に語り掛ける。
その時、猫はあることに気付いた。
それを伝えようと、少年に向かって鳴いた。
「にゃーお。」
「スバル!?起きて下さいよ!」
「にゃん。」
猫は少年を宥めるように少年の足元にすり寄った。
少年が抱くカプセルは、ひび割れていて、中枢部分の機能が停止してしまっていた。
少年は目覚めた。だけど、仲間が旅の途中で死んでしまった。
少年は、泣きこそしなかったが、哀しそうに壊れたカプセルを見つめていた。
機能が停止してしまったカプセルは、もう二度と搭乗者を目覚めさせる事はないだろう。
「スバル…………。」
暗い表情で手先を見つめる手に、猫の前肢がかけられた。
自分が慰められていることに、少年は気付き、微笑んで猫に声をかけた。
「………ありがとうございます。僕はロイドです。君はなんて言うんですか?」
「にゃお。」
「にゃおさんですか?それにしても、さっきから同じことしか言いませんね。ひょっとして、それしか話せないとか?」