第4章 彩花。
「それは構いません、私の全てが貴方のもので間違いは御座いません。けれど、栗花落姫様を傷つけてはなりません。私等と夜伽よりも栗花落姫様の傍にいてください、王様」
その瞳が笑っていなくて、いつもの微笑みが無くてすっと身を引く。
「栗花落姫様を、私の監視をさせないで下さい、他に適任者はおりますでしょう。あの方が心を痛めているなら、王様が側にいて差し上げてください。妃の座はあの方にこそ相応しいのですから」
「な、にを」
千代に手首を掴まれ驚く。
驚く程、力強く目を見張る。
珠翠を呼びつけ、栗花落の所まで送るように言いつける。
「栗花落姫様に、ちゃんと、話をしたと言ってくださいまし、大丈夫だと、あの方が心を痛めてはなりませんから、王様、お願いします、王様」
そう言う妃。
利口すぎて正に不気味だった。
それを告げると栗花落は嬉しそうに胸をなで下ろしていた。夫婦は仲良しがいいと、千代の監視は珠翠にと、都合がいいからと言えば劉輝の世話を見る時間が増えるからねと納得していた。
あぁ、悩んで居たのかと、知る。
目を閉じて額を抑える。
「千代とはどんな話を?」
「おまえの話ばかりだ」
「え?どんな?」
「心配症だ何だってよく喋っていた」
ふぅんと、嬉しそうにしていて今なら少しだけ旺季の気持ちがわかる気がした。
お前から見た私はこんなものなんだろうと。
頭が良い娘。
恐ろしいぐらいに。