第4章 彩花。
千代は恒例となっていた水浴びに向かっていた。
「おやおや、これはこれはお妃様奇遇ですな」
「何を言ってるのです?霄この姿を見て妃と一目で分かるなんて外朝では貴方ぐらいでしょう」
「これは手厳しい、いやなに、後宮では妙な美肌対策があるとお聞きしましてね」
「私には関係の無い話ですね」
むすっとする千代の頬をつねる。
「えぇ、お妃様がやられていては大変です。大事な御身なのですから」
「作りませんよ、霄。分かっているでしょう?それがどれほど危険で世の混乱を招くことかを。」
「えぇ、貴方はとても賢い方です、知りすぎ生きすぎていますからな」
「霄に言われたくはないわ」
離して下さいと霄の手をつかむと、驚いていた。
「⋯願掛けですよ、出来てしまってからでは死ぬことが出来ませんからねそれに⋯⋯瑠花姫様は、私が根付く事をお望みでしょう?子なんて産んでしまえば私は本当にこの世界に根付いてしまうわ」
「ご存知でしたか」
「勿論、考えつきます⋯⋯出来ない方が全ての為です。霄も劉輝が可愛いでしょう?」
「あの王を死なせなかった貴方様には敬意を示します」
「劉輝も愛して、優しい子だから、王様の次の次で構わないので」
「⋯考えておきましょう」
霄の手を繋ぎ微笑む。
「霄そろそろいい?珠翠に見付かると貴方のように小言を言われてしまうのですよ」
「熱がおありです。」
「いつもの事です、さ、霄の身体が冷えてしまうわ」
上着を脱ぎ霄にかける。
「風邪を引いては王様が困りますからね、宰相様」
「⋯むむ」
「それでは、失礼します。おやすみなさいませ」
駆け足で去る妃。
それを見つめ深くため息をつく。