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【彩雲国物語】彩華。

第4章 彩花。



 「馬鹿者ー!!!!!」
 栗花落と旺季が声を荒らげて両耳を塞ぐ。
 「千代が出仕しないから何事かと思えば貴方が⋯!!!」
 「旺季もっと怒鳴れ、私が許可をする」
 「うるさいぞ何が悪い、俺の妃だ」
 「悪いに決まっているでしょうが!貴方はどの面下げて千代に手を出したのですか!」
 「このお綺麗な面だ」
 口の減らない王に拳を震わせていた。栗花落がゲンコツを落とす。
 「お前は!!何を突然!」
 「何をお前達はそうカリカリするんだ、カルシュウムをとれ」
 「千代をくれぐれもと言われただろうが!」
 「あぁ、だから、夜伽を」
 「そうじゃないでしょう!!!」
 ムスッとする王。
 旺季は蟀谷に血管を浮かばせていた。
 「千代は今どうなんですか」
 「さぁ、途中から意識が無かったからな」
 「戩華!!!!」
 栗花落の二度目のゲンコツを交わすと旺季が落としていた。兄弟そろって同じとこを⋯
 「どうしようもない⋯」
 「あぁ、もう、コイツの頭を覗いてみたい、いや、見たくないな、頭がいかれてしまいそうだ」
 「全くです」
 「なんだお前達は、何が言いたい」
 「妃は、王のものであり、また民のものです。」
 「だからなんだ」
 「どうぞ、御容赦を」
 「民のものでもあるが、俺のものでもあるだろう。うるさいのが二匹もいると敵わんな」
 眉間を寄せ窓の外を見つめていた。
 まだ雪が積もる外。
 深くため息をつく。
 嫌がられたのなんて、こっちだって初めてで面白くない。
 
 それに、あの娘は一度たりとも。名を呼ばない。王様と。
 それは名前ではない。
 あの娘が、嬉しそうに愛おしげに呼んでいた名を⋯⋯。
 数秒して、珠翠がお妃が倒れて高熱を出していると聞く。
 いつもの事だから放っておけと言えば、二人がゲンコツを振り回す。
 あぁ、面倒だ。
 
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