第4章 彩花。
珠翠の姿が見え何か話していたが、片目が見えず顔までわからなかった。
目を閉じ、女官が下げようとしていた寝巻きに起き上がる。
「その、その寝間着を返してください!!!」
思いのほか声が大きくて驚く。
「⋯⋯主上が、上着も、始末しろと⋯」
「おう、様が⋯⋯⋯⋯そう、で、す、か」
ぱたりと、倒れる。
痛む子宮。何度も何度も苦しくなり途中意識は無かった。
眠気に倒れ込む。
お仕事だから、妃の。
「申し訳ございません⋯大きな声を出してしまい⋯」
「⋯⋯お妃様」
「珠翠、藍家に文を⋯」
「⋯それも、出来ません」
涙が流れた。
小さな枯れた声で、そぅ、とだけ呟いていた。
何も食べたくないと言えば珍しく静かに引き下がった女官達。
静かな部屋だった。
ただ、お腹を抑え膝を抱えた。
目を閉じたら、戩華がいる。
優しく強く微笑む戩華。
貴方を救って貴方の世界を守れて私は終わったと思っていたのに。
あぁ、これもきっと人の死を捻じ曲げた報いなのだ。
目を閉じて微笑む。
「戩華⋯せん、か⋯⋯」
近づくために始めたのにどんどん遠くなる。あぁ、あなたのくれた呪詛が悪戯をしているのね。
それでも構わないと思ったのに⋯
遠くなりすぎて表情も声もよく思い出せないの。
ぎゅっと毛布を抱きしめ眠に落ちる。
「たすけて⋯つき⋯⋯⋯⋯」
初めて愛された気がしたから。