第3章 彩歌。
「はい、そうです。臆病で幼い私が考えた最善策です。後悔はありませんし、恨まれても構いません。責任は私にあります。なんと罵られてもそれは確かです。」
「⋯⋯素直すぎるぞ、だから付け込まれるんだ」
「誰にですか」
「俺にだ」
深くため息をつく王。
千代は首を傾げるどういう意味ですかと言う。
見渡せば王が望んだものになっている。千代はそれを愛しているから、死んで欲しくないから、それだけのために何度も死に何度も繰り返したのだろう。
素直で優しく賢い娘、本当に愛おしく思ってはいなかったのだろう。俺でも分かる。都合がいい、駒だと。
付け込まれただけだ。
次第に心を捨てたのだろう。自らも気が付かぬうちに。
愛される喜びと、愛されたいという期待を。
どこかに置いてきたのだろう、それは、尚自分に都合がいいと。
思い知る。
幾千の紫戩華王に作られたのだろう。
優しさ、愛情、死という絶望、悲しみが可笑しく歪ませた。
正に愚かな娘だ。
「構いませんよ」
ため息をつく。
「私が初めて王に会ったとき、言われましたから。貴方に」
──────お前を使う。