第2章 彩香。
「悠瞬」
「はい、なんです黎深」
「姫家は貴様だけか」
「はい、それが何か?大体こんなに公の場に来ること自体異例なのですよ感謝して欲しいですね」
「⋯ありがとう」
「!?⋯はい」
「姉上を知っているのか」
「はい、戦ってくれましたから。あの王と」
「⋯⋯そうか」
「あなた方の自慢も耳凧になるだけ聞かされましたから、会ってみてびっくりですよ」
「そ、そうだろう」
「あの姫様が、こんなどうしようもないものが大切だと言うんですからね」
「⋯⋯言い過ぎではないか?」
「命を掛ける、そこまでしても貴方を救いたかったのです。黎深、救われたのは私ではなく貴方達なのですよ」
「分かっておる⋯あぁ、解ってる。姉上は⋯⋯優しく強く、孤独だ」
黎深の言葉に泣いているのかと思いふと、顔を見ると彼は悔しげにしていた。
あぁ、どれだけ彼が彼女を愛しているのかわかった気がする。
仲間はずれにされた、寂しい、それが貴方は理解出来ず悔やんでいるのでしょう。
けれど、それでも、貴方はあの姫様を前にして二番三番手になるでしょう。
王が妃にと言ったとの事を聞いて正しい判断をしたと思わされた。
それさえも姫様の判断に思えた。
「美しいな⋯姉上は⋯」
「えぇ、最上の美姫なのは間違えありませんね」
「とても、遠い⋯」
その一言を聞かぬふりをする。
護りたかった、恐らく黎深だけではない、彼女を護りたかった。
自分もそう悔やんでると今気付かされた。