第2章 彩香。
血と毒を綺麗に拭い水あみをして、身体を拭き取ったタオルも燃やし捨てた。
酷い火傷は化粧を厚くすると、薄れ前髪で隠す。
完璧に毒は無くしいつもの香を纏う。
髪の毛もいつもの様に整えてきた。
これで怪しまれる事は無い。
部屋にゆくと、キヤっきゃと夜中だというのに劉輝の声が聞こえた。
慌てて入れば何故か旺季が劉輝を抱っこして遊んでいた。
清苑公子までも⋯
「なっ、千代!?」
「叔父上、申し訳ございません私の不在の代理をお願いして⋯えぇ、それより、今何時とお思いでしょうか?」
ケロリとする千代。
旺季はそろりと劉輝を下ろし駆け寄る。
「医務には」
「何ともございませんよ、それより、先刻の問の答えは?」
「⋯ぅ⋯⋯忘れておった」
「まぁ!」
千代は愛らしくクスクス笑う。
「叔父上、子供の仕事は睡眠です。行けませんねお仕事を妨げるなんて」
「⋯す、すまぬ」
劉輝をひょいと抱き上げ、清苑公子の手をつかむ。
「叔父上、留守をどうもありがとうございます。ですが、今度からこの子達の事を思ってお世話願います。さぁ、寝床に参りましょう」
「むぅ?千代?おこってるのか?」
「えぇ、千代は怒っております。清苑公子、ああいう場合は怒ってよろしいのですよ。劉輝が寝不足になりますから」
「⋯あ、あぁ」
「まったく、叔父上にも困ったものです」
千代はぷんすかぷんすかしながら寝床に向かう。部屋につくとほんわかする温もり。ここに来る前に火をつけて来てよかったと思う。二人を並べ寝かせると、寝台の隣に座る。
「さぁ、おやすみですよ」
「兄上と一緒ですか!」
「そうらしいな」
「二人共明日は勉学をみっちり致しますからね、しっかりおやすみ下さいまし」
劉輝を見ると少し寂しげに微笑んでいた。千代は優しく微笑む、眠るまで傍に居ますからと言えば劉輝は嬉しそうにしていた。
あぁ、そうか、劉輝は寂しいんだと思い知らされる。スヤスヤ眠る劉輝。
それに合わせるように狸寝入りをする。