第11章 才華。
「え?秀麗まだ来てないのか?」
「え?もう出たの?」
「え?父上が静蘭を貸してくれたのだが⋯」
栗花落は一瞬嫌な予感が頭をよぎる。
恐らくこれは的中だ。
「え?せせせせせせせせせせせせ先王が、ごごごごごごごごご!?」
「あんたはまた何を!?」
「よぉ、いいだろう?」
「大丈夫ですよ、これは置物だと思ってくだされば」
「ししししししししししししゅしゅしゅしゅ秀麗おおおねねねさささささ」
「蒼姫、少し落ち着きましょうか」
「ふん、邵可、乗るか?」
「お前は降りろ!!」
すったもんだするのを見て蒼姫が微笑む。
「晴れ日でございますよ。父上。」
「⋯⋯⋯⋯」
「さぁ!お姉様!お手をどうぞ」
「蒼姫姫様⋯」
「蒼姫でよろしいですよ、今日から私のお姉様なんですから」
その笑は少し静蘭に似ていて、ちらりと静蘭を見て微笑む。
手を掴むとひょいと救いあげる。
「さ、むさ苦しいですが父様が俥に乗って事故ることは御座いませんからね安全第一です」
「ありがとう⋯」
「さ!行きますよ!では、邵可様後程」
恭しく頭を下げて俥を出す。