第11章 才華。
蒼姫はぶわりと冷や汗をかく。
「お願い!急いで!!!安全に急いでくださいまし!!何故かとてつもなく栗花落様のお怒りが目に浮かぶのですよ」
「そうか?千代が怒っている気はするがな」
「それは総じて父様のせいです!」
「な、なに?どうしたの?静蘭⋯」
「いえ、少し宮廷が昨夜ごたついて⋯その後始末のせいで後宮の仕度が整っておられないのかと」
「え?」
「大丈夫よ、母様が居られますから」
「⋯⋯あいつも限度はある。」
戩華はちらりと、秀麗を見る。
まぁそうだ、千代もこんな頃があったはずなんだ。事実は、無かったのだが。
それを望ませなかったのは恐らく自分なのだろう。
「蒼姫、後宮はどんな雰囲気なのですか?」
「そうですね、私は武官でございますから殆どはお母様が仕切っております。」
「千代様ですか?」
「はい⋯⋯父様、母様はいつも何をしておられるのですか?」
「大体は怒ってるか、俺の代わりにきびきび働いてるな」
「え?後宮のことは?」
「ほぼ全権は栗花落だ、千代がそうしたからな。」
「へ?」
「栗花落様、ですか」
「千代がする事は接待や、俺の世話かあいつの仕事だろう」
ふんぞり返るが、蒼姫はそう考えると栗花落様にすぐ頼る理由がわかる。
「あれ?でしたら父様、栗花落様がおられなければ⋯」
「後宮は機能を停止するな」
「そ、そこまで!?」
「ああ、千代は殆どあいつに任せているからな、劉輝が小さなハナタレの頃は千代が全てをやっていたが俺が辞めさせた」
「?」
「毒味までやるからな」
静蘭は思い出したようで額を抑える。あの人はそうだそんなこともしていた。
蒼姫は初めて聞くのか秀麗と目を輝かせていた。