第11章 才華。
千代は不機嫌だった。
足を組んで頬杖をついて、ぷいっと頬をふくらませていた。
その姿を今朝から見ているが栗花落は訳が分からなかった。
どうしたの?と問えば無言で書簡を渡される。
それを開いて珠翠と二人読んでみるが、達筆な文字で「妃は部屋で仕事をしていろ」と一言。
「それのせいで宮中歩けないのよ。今朝方部屋を出たら霄に捕まったわ。あの霄までよ!!いうこと効かせるなんて⋯どれだけ私をここに居させたいのよ!」
「で、戩華は?」
「霄と静蘭を奪い朝から蒼姫の元に行きました」
「⋯⋯あらあら⋯」
「昨晩から今朝にかけて私は戩華に説教をされて⋯私の鬱憤はどこへ?」
だいぶお疲れの様子の妃。
「千代」
肩を揉むと、千代は目を閉じて微笑む。
「まぁ、束の間の緩やかな時間ですからね」
「多分そうだろうねぇ」
ちゅんちゅんと緩やかな昼間。
ふと、何かを忘れていると栗花落と珠翠が顔を見合わせ唸る。
「なぁに?大事なことですか?」
「⋯⋯あ!」
「ハッ!」
「んー?」
そろりと、湯のみに手を伸ばす千代は栗花落に肩を揉まれ御満悦。
バシッと、千代の背中を叩かれる。
「「秀麗の後宮入り!!!」」
「あら、それ私ここにいていいの?」
「「んんんんうううう!?」」
「ふぅ、栗花落様、劉輝に聞いてきてください、珠翠多分門の前で困惑してる紅家からの品々取りに行くように貴方が指示して、昼前でよかったわね、蒼姫に出迎えをしなさいと。私は少し⋯昼寝をするわ⋯栗花落様戻ったら起こしてください」
ふああっと、欠伸をして目を閉じる。
床にふらふらと行くとばたりと倒れる。
立ち去る足音を聞きながら戩華が戻ったらどうしようか考えながらも眠りにつく。
この身体は呪術を使うと本当に睡魔に敵わない。