第11章 才華。
「蒼姫の熱が下がらない?」
その知らせを聞いたのは今さっき。
と、同時に千代と戩華が帰ったと知らせが届き頭を抱えた。
遠くから聞こえた怒鳴り声。
走ってくる足音は確かに、そう。
千代のものだ。
「栗花落様、お待たせ致しました。あの、戩華を少し見ていてもらえますか?」
帰宅早々そうきたか。
「そ、それは⋯」
「龍蓮が居たら、部屋に呼んでください。」
「千代、戩華は─⋯」
「珠翠、急いで下さい!」
頭を下げて立ち去る。上着を脱ぎ捨て、掛けていくのを見てよっぽどなのだと。
暫くして戩華が追いつくと、じっと見られため息をついていた。
「今回は君の自業自得だと思うけどね。さ、いくよ。千代に戩華を預かるよう言われてるからね」
「⋯⋯あとはなんて?」
「龍蓮が居たら部屋にってぐらいかな」
「⋯⋯⋯⋯何を考えているんだ千代は」
「君に言われたくないと思うけどね」