第11章 才華。
一瞬にして千代の安否を見るが戩華が抱きしめていた。
「お前に蒼姫を産ませたことに後悔はしていない、瑠花の元から連れ出したことも後悔をしていない。けれどな、千代。俺が蒼姫を愛するのはお前が俺の妃だからだ」
「馬鹿王、いつ気がつくの」
「蒼姫の事は約束は違えた。それは謝る、二度はない。」
「何で偉そうなんですか」
「お前が俺の側に黙っていないからだ」
「初めから妃になんてなりたくなかったんだから仕方ないではありませんか」
「まだ藍家のあの男が好きだと?」
「⋯⋯えぇ、好きですよ。そうでないと壊れてしまいますから」
唇を寄せる戩華を見て頭突きをする。
「貴方は瑠花姫様の説得も旺季様の説得も栗花落様の説得もお受けになっていないでしょう。劉輝もきっと泣いておられます」
「だから何だ、あいつらを説得?アイツらは説教をするのだろう」
「どちらでも構いません、暇なのでしたらそれをお仕事になさってください」
俥が止まると、誰より早く降りる。
振り返ると戩華に手を差し出す。
そろりと、手を重ね降りるのを見て楸瑛と絳攸はほんとにこんなひどい拷問はないと思った。
「二人とも、劉輝の手伝いをお願い致しますね」
そう言って先王と立ち去る姿を見て、美しい人だと見とれたものの、鋭い視線が刺さり泣きそうになる。
もう、あの人もただの親バカだろうと頭を抱えた。
可愛い可愛い主上に会いたくなり急いだ。