第11章 才華。
「⋯⋯」
「⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯」
「なんですか?」
「ふん、酔って乱れて見せろ」
「はい?」
「つまらん」
「酔って乱れてるのはどちらでしょうかね」
さっきから、美人を目で追ってる。
気が多いのは大いに結構だが、こちらにまで飛び火がくるとは⋯
「お帰りになればよろしいではありませんか」
お酒を飲みながらふと、外を眺めた。
小さい娘が母父に手を引かれ歩くのを見て微笑ましく思う。
「ああ、そうしたいんだがな、妻が酔ってくれぬから帰れぬ」
「⋯⋯貴方は十分酔ってますよ⋯!」
手を振ったのは、まだ何も知らない赤子だろう、母の背中から手を振りはしゃぐから、手を振る。
頭を下げて立ち去る二人を見て笑みを零す。
うん、美味しいお酒だわ。
ちらりと、目の前の酔っぱらいを見るとじーっと睨まれていた。
「どうしたの?」
徐に手を伸ばしたかと思えば頬にぴとりと。
つねられる。
「?」
「火傷はどうした?落としてきたのか」
「⋯⋯この身体は新品ですから」
目を見開きにやりとすると、何故か立ち上がった戩華。
「そうか⋯よし、帰る。」
そう言って会計を済ませ店の外に引っ張られる。
「私も、邸へっ!?」
外に出ると、俥が止まっていて再び拉致誘拐。
中には何故か真っ青な顔をした楸瑛と絳攸が座っていた。
それはもう、今すぐ降りたいと顔に書いてるぐらい。
千代は眉間を寄せて何をしたんですか彼らにと戩華の足を踏みつける。
「何も」
「なら何故怯えてるんですか」
「お前に怯えているんだろう?なぁ、そうだろう」
戩華の視線に怯えてる。
「戩華」
「遅れたら責任を負ってもらうと」
戩華の頭を殴り、座る。
二人は怯えて隅で手を握り合わせていた。