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【彩雲国物語】彩華。

第10章 彩稼。


 うたた寝をする彼女にホッとして、ふと笑が零れる。
 彼女の頬に手を伸ばし、髪を引っ張り口付ける。
 「⋯気がついた?」
 「あぁ、どのくらい眠っていたんだ」
 「⋯⋯私も分からない。気がついたら眠っていたようだからね」
 なんだそれはと、身体を起こすとふわりと甘い香りが鼻をかすめた。
 辺りを見渡すが、先日栗花落と後宮から抜け出してきた長屋だった。
 「誰か、来たのか?」
 「え?いや⋯」
 「⋯⋯」
 「戩華⋯私は君のなんだい?」
 何をいうかと思えば。
 起こした身体を引きずり、栗花落を押し倒す。
 「俺の妻だろう」
 その言葉に栗花落は涙を流した。
 
 「そう、か⋯⋯⋯」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 魔女は、微笑む。
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