第1章 彩華。
「で、ですが」
「これ!羽羽!!余計な事を喋るでない」
「王を助けるのではありません。私は今迄の生を王の官吏として捧げて参りました、ですのでこの度の生は紫戩華ただ一人、彼の為に捧げます。そして、この身全ててその報いを受けましょう」
「それがどんなものかお前は知らぬだろう!!!」
「それでも、瑠花様貴方は叶えてくれた、私がこの世から簡単に切り離されないよう、簡単に死なぬようそして⋯貴方はもっとも愛おしいものを私にさずけましたね」
「っ!」
「私の愛する、子供たち、愛する戩華王、彼らの死を一度だけ、私が身代わりに慣れるなど⋯瑠花様貴方には感謝してもしきれません」
馬鹿者がと呟き涙を流す凛としている姫君に千代は嬉げに抱き抱えた。
小さな姫君。
彼女のためならなんでもしよう。
「よいか、千代⋯お前はどうしたって王の官吏じゃろう、せいぜい足掻くが良い⋯その身体が朽ちるその時までな」
「はい、瑠花様」
「そうして、疲れたらまた妾の元に来れば良い⋯妾も千代のため力を振るおう」
「大盤振る舞い過ぎて怖いですよ、姫様。今度は上手く行きそうで楽しみです、ありがとうございます姫様」
無邪気に笑うから、瑠花と羽羽はただ、苦しく笑顔を貼り付けた。
確かに刻まれ育まれる呪詛。
それは、確実に彼女を蝕む。
それを理解していないもの等この部屋には居なかった。