• テキストサイズ

【彩雲国物語】彩華。

第9章 番外編2


それよりもう少しもどって⋯⋯


何故だろう。
この男は自分が決めたこと対しては行動が早かった。

翌朝目覚めるとカラリとした部屋。
荷物で溢れていた訳では無いが、殺風景過ぎる部屋に少々戸惑う。
戩華は行くぞとだけ言い私を抱き抱えた。
寝間着だから待ってと言えば早くしろとだけ。
じーーーーっと見つめてくる戩華の様子からして昨日何か言われたのだろう。
何故私の部屋が綺麗になっているのか何をそんなに急ぐのか何処へ向かおうとしているのか。
聞くも馬鹿らしく取り敢えず着替えをする。
化粧をしようとすると手を掴まれ要らぬと言われる。
抱き抱えられると何故か裏門からコソコソと後宮を抜け出した。
護衛は!?と思うが私たち二人らしく、護衛などつけられていなかった。

身体がまだだるく、ふらふらしていると何故か隣に座ってくるこの男にもよく分からない。
「戩華、何処へ参るのですか?」
「蒼姫が妙なことを言い出してな、お前の家が今空き家だと聞いて暫くそこに住むことにした」
全く意味がわからない。
大体あの家のことはあの子は知らない。
何がどうなっているんだろう。
この男は部屋から出たとは聞いていないなのに何故こうも動かしていけるのか。
ふわりと、戩華の髪の毛の香りに心地良さを感じて凭れ掛かる。
「戩華⋯少し⋯⋯だけ⋯」
肩を貸して下さい。
そう言えたかは定かではないが、身体が重くて仕方が無かったから。
戩華に振り回されるのはもう慣れている。

目を閉じたら、戩華がいつも頭を撫でてくれる。
良くやったと。

それは悲しい悲しい幻。

月が出る夜は悲しくて思い返されて寂しくて⋯ただ、気が重い。
「⋯⋯つ、き⋯⋯」
「⋯⋯⋯」


貴方に閉じ込められるのも悪くないって最近思うの。

戩華の掌は狭くて小さくて身動きが取れない時があるのよ。
/ 189ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp